AB石垣の施工手順
1.AB石垣の設計と施工方法
※ABロックには、3°と6°、12°の3種類のユニットがありますが、基本的な設計および施工方法はいずれも共通です。
1-1 AB石垣の設計
- AB石垣の設計は、別冊資料「AB石垣標準施工マニュアル」に基づいて行ってください。(日本ABクラブ会員各社までご請求ください。)
- AB石垣は乾式施工です。安全のため、必ず破れ目地積み(レンガ積み)で組積してください。
- ABロックは組積構造のため、1段当たり175mmの仕上がり高さになります。(図-1)
また、AB石垣は高さに応じて所定の埋め込み深さが必要となります。(表-1)
- 3°ユニットで10mm、6°ユニットで20mm、12°ユニットで37mmのセットバックがあるため、段数によって土地の面積や、カーブの半径が変わります。ご注意ください。
- 軟弱地盤に使用する場合には、砕石基礎の代わりにコンクリート基礎で施工してください。
- 高さや土質、載荷重など現場の諸条件により、無補強で安全率を確保できない場合には、ジオグリッドを使用した補強施工を行ってください。
また、高さが2mを超える場合には、必ず日本ABクラブ会員各社、または問合せフォームまでお問い合わせください。
図-1 ABロックの高さ
表-1 AB石垣の総高さ、GL上高さと埋め込み深さ
段数 |
キャップなし |
AB石垣の総高さ(mm) |
GL上の高さ(mm) |
埋め込み深さ(mm) |
1 |
190 |
40 |
150 |
2 |
365 |
215 |
150 |
3 |
540 |
390 |
150 |
4 |
715 |
565 |
150 |
5 |
890 |
740 |
150 |
6 |
1065 |
915 |
150 |
N |
175n15…(1) |
(1)-(2) |
(1)×1/10かつ150以上…(2) |
段数 |
キャップなし |
AB石垣の総高さ(mm) |
GL上の高さ(mm) |
埋め込み深さ(mm) |
1 |
265 |
115 |
150 |
2 |
440 |
290 |
150 |
3 |
615 |
290 |
150 |
4 |
790 |
640 |
150 |
5 |
965 |
815 |
150 |
6 |
1140 |
990 |
150 |
N |
175n+90…(3) |
(3)-(4) |
(3)×1/10かつ150以上…(4) |
1-2 重力式施工方法
●基礎工
- 基礎の根切りは幅650mm以上、深さは石垣の高さに応じて(100mm+埋め込み量)掘削してください。(図-2)
図-2 砕石基礎
- クラッシャラン(C-40)を敷きならして、100mm厚になるよう振動コンパクターで転圧します。
●1段目の据え付け
- 砕石基礎の上に、レベル調整用の砂を約10mm厚に敷きならしてください。
- その上に1段目のABロックを、リップが正面側に来るようにし、端部をそろえて並べ、空洞部に砕石を充填し締め固めます。
- ABロックの背面300mmに裏込め砕石を充填し、コンパクターで転圧してください。(図-3)
図-3 1段目の組積
●2段目以降の据え付け
- 1段目のABロックの上面を清掃してください。
- 2段目のABロックをリップに合わせて、破れ目地積み(レンガ積み)になるよう積み上げてください。1段目と同様に、空洞部および裏込め部に砕石を充填し、締め固めてください。
- 2~3段おきにレベルのチェックを行いながら以上の作業を繰り返し、ABロックを所定の段数まで積み上げてください。(図-4)
※組積したABロックの近くに、ユンボなどの重機が載らないよう注意してください。
※コーナー部や端部など、負荷がかかる部位には空洞部にモルタル充填を行ってください。
図-4 ABロックの組積
●排水パイプの設置
- 現場の状況に応じて、基礎部および裏込め部などに排水パイプを設置し、余剰水を壁面の左右に流下させてください。
●頂上部の仕上げ
- キャップを使用する場合は、最上段のABロックに接着剤を塗布し、キャップを載せ固定してください。(図-5)
- キャップを使用しない場合には、上から2段目のABロックに接着剤を塗布し、最上段のABロックを固定してください。最上段のABロックには埋め戻し土を充填してください。土の代わりに植生用土壌を入れ、芝生や花で飾ることもできます。
1-3 コーナー・カーブの施工方法
●排水パイプの設置
- 出隅の場合は、1段ごとにコーナー右用、左用を交互に使用してください。(図-6)
キャップはカット品を組み合わせて、スプリット面が端部に出るようにしてください。(図-7)
- 入隅の場合は下段のABロックのリップを約200mm除去し、各段が交互にかみ合うように積んでください。(図-8)
- ジュニアやカット品を使う場合は、石垣の端部に積まないようにしてください。
●カーブ(外曲がり・内曲がり)
- 外曲がりカーブの場合、ジュニアは並べるだけでカーブや円形が施工できますが、基本は端部を取り除く必要があります。(図-9)
Vラインに沿ってハンマーで叩き、端部を取り除いてください。(図-10)
- 内曲がりカーブを組積する場合には、基本・ジュニア共に、そのまま施工できます。(図-11)
- 外曲がり・内曲がりカーブ共に、キャップを使用する場合に は切り加工が必要となります。
●サークル(円形積)
- 円形に積む場合も、基本は端部を取る必要があります。また、基本・ジュニア共に、1段に1本切り加工が必要となります。
- ジュニアを使用した場合の最小直径は約0.96m(14個使用)、基本の場合は約1.86m(14個)になります。(図-12)(図-13)
- ABロックにはセットバックがあるため、最上段以外を最小径(14個)で設計しないでください。
- キャップを使用する場合には、切り加工が必要となります。
図-12 ジュニア最小径
図-13 基本最小径